隣りのベットのおじいさんが立ち上がる音で目を覚ます。
もう07:30かぁ。
こっちが起きたのに気付いたのか、「Good mornig」と言ってカーテンを開けた。
おおお〜。
今まで見てきた車窓からの景色と、また一味違う風景。
草原、荒野が一面に広がっていた。
遠くの方に見える山脈がピレネー山脈か??
あれ?でもピレネーはフランスとの国境付近のはずだから、そんな進んでいないわけないよな。
とにかく自然が凄い!
なんて思いながら、おじいさんと窓からの景色を楽しむ。
すると、昨日不覚にも部屋を追い出されてしまったおばあさんが部屋にやってきた。
「Good morning」
昨日は、車掌とのやりとりでうんざりした顔をしていたけど、今日は機嫌が良さそうだ。
着替えをすませて準備が整うと、3人で外の景色を見る。
しばらくして、老夫婦が
「どれくらい旅をしているんだい?」
と話しかけてくる。
1ヶ月ヨーロッパを周るつもりで、これからスペイン・イタリア・スイス・ドイツと周るつもりだ。
と伝えると、
「フランス語は話せるのかね?」と。
「もちろん」
英語に続いて得意な言語はフランス語だと言ってみる。
「ボンジュール、メルシー、ノンメルシー、ウィ、ノン、パルドン・・・」
と得意気に発音してみると、、
「君のフランス語は、とてもミニマムだね」と笑われた。
必要最低限だねってことだろう。
もちろん、得意な言語っていうのは冗談のつもりで言ったので、その冗談が通じたらしい。
この会話をきっかけに少しは打ち解けられたところでマドリッドに到着。
老夫婦とは、「よい旅を」と言って別れる。
【寝台列車】
到着時間は予定通り09:30。
ホームに降りてみると、タケルもちょうどホームに降りてきたところだった。
(ヨーロッパの列車はどれも入り口が高いところにあるので、本当に「降りる」といった感じ)
タケルの部屋は何の問題もなくて快適な過ごせたらしい。
ベットも22時には作ってくれたというから、やっぱりうちの部屋は特別だったんだ。
と、ホームを話しながら歩いていると前から「パスポートを見せろ」と警官が。
言われた通り、パスポートを見せようとすると、タケルがちょっと待ってと。
「警察証を見せてくれ」とタケル。
どうやら、スペインはニセ警察になりすまして旅行客を騙そうとする連中が多いらしい。
確かに、周りのみんなは声をかけられていないのにうちら2人だけが止められている。
言われてみると怪しい・・・。
警察証も見せるには見せるけど、なんか紙っぺら。
パスポートを見せるのを拒んでいると、3人くらいの警察官(?)が集まってきた。
しょうがないから、駅員に「この人たちは警察官か?」と尋ねてみると、そうだ。と言う。
そこで、恐る恐るパスポートを見せた。
そのまま持っていかれるのを警戒して、パスポートは自分で持ちながら見せたが、すぐ返された。
「言っていいよ。まったく銃も持っているんだから、おれたちは正真正銘警官だよ!」と。
そーり〜と言って、ホームを後にする。
マドリッドに着いて、まずしなければいけないと思ったのはバルセロナまでのチケットを買うこと。
せっかくケルンで苦労してバルセロナ〜ミラノの道を確保したのに、
バルセロナまで行けなければ、全てが水の泡だ。
チャマルティン駅の窓口に行ってみると、早朝だからかあまり人がいない。
スペインの窓口は、日本の銀行のように整理券を貰って番号を呼ばれるのを待つと聞いたが、
そんな発券機はどこにも見当たらない。
とりあえず、番号の表示がない列に並んでみると、そこでチケットが買えるようだった。
バルセロナ行きのチケットが欲しいと伝えると、あっさり買えた。
タケルも、別の日のバルセロナ行きのチケットを買って、2人でメトロの駅へ。
マドリッドのメトロも、パリ同様わかりやすい仕組みをしていて使いやすい。
マドリッドの宿はまったく決めてなくて、着いてから考えようとしていたので、
とりあえずタケルが予約していた宿に着いていってみる。
チャマルティン駅から10番に乗って、Tribunalへ。
地上に上がったところで、少なくなってきたユーロを補充。
タケルが予約していたのはユースホステル。
けれど、今まで泊まってきたユースよりだいぶオシャレな雰囲気だ。
なんとなくデザイナーズマンションのよう。
フロントで、予約していないが泊まれるか?と聞いてみると、OKだ。と。
タケルが旅の途中で会った人はマドリッドで10件以上、宿を探し歩いたというからラッキーだった。
しかも、タケルと同じ部屋にしてもらえた。グラシアス、グラシアス。
 
【この旅一番のユースホステル】
15時までチェックイン出来ないという事で、先に観光をしてしまうことに。
タケルに貰ったバナナで腹ごしらえして、出発。
けれど、お互いマドリッドでは特にやることを決めていなかった。
フランスで出会ったときは、フラメンコを見よう!バルを体験しよう!!それだけ。
ただ、1つだけマドリッドに来たら見たかったものがあった。
ベルリンの「壁博物館」に行ったときに展示されていた「ゲルニカ」の資料。
それを見たとき、マドリッドに行く機会があったら本物を見てみたいという気になっていた。
それをタケルに言うと、それなら自分も見てみたいと賛成してもらえた。
とりあえず、夜のフラメンコを予約しに行って、その後にゲルニカが納められいる、
「ソフィア王妃芸術センター」に行くことになった。
タケルが持っていたガイドブックに載っていたフラメンコの見れる場所は、
少し遠いけど、宿から歩いていける距離。
とりあえず街の様子を見ながら、そこまで歩いてみることにした。
マドリッドは、思っていたよりずっと都会の雰囲気。
いろいろな店があって、何でも揃いそうだった。
メトロの駅で3駅くらい先が、目的地の最寄り駅。
少し迷いながらも、タブラオ(フラメンコが見れるレストラン兼酒場兼劇場)を発見。
・・・閉まってる。
どうやら、営業時間は夕方からのようだ。
ガイドブックにもなるべく早く予約しておいた方が良いと書かれていたけど・・・。
とりあえず、電話予約出来るかどうか試してみることに。
公衆電話から、タブラオの番号にかけてみると・・・、
「なんちゃら、かんちゃら、・・・グラシアス。 ピー 」
・・・、聞き取れたのはグラシアスと、ピー。
グラシアスは「ありがとう」。知ってる、知ってる。
「ピー」は、日本でもお馴染み、留守番電話でメッセージを入れるときの音。
・・・、おお!伝言を入れれば良いのか??
「あ、すみません。いや、今夜のね。その〜、ショーが見たいんですよ。
私の名前は〜で。あ、ドリンクだけのコースでお願いします。
あと、何を言えば良いですかねぇ。えへへ」
なんて感じで、メッセージを入れたところでタケルにバトンタッチ。
まったく同じようなことをもう1回念押したところで終了。
これを聞いた人は、イタズラ電話にしか思わないだろう・・・。
まあ、あとは直接夜行ってみれば良いだろう。ということで観光再開。
 
【マドリッドの街並み】
ソフィア王妃芸術センターに行く途中に、サッカーショップを見つける。
お互い、サッカーは好きなので入ってみることに。
今日は試合は見れないけど、練習が見れるんじゃないかということで、それを聞いてみることに。
「今日、レアル・マドリッドの練習は見れますか?」
すると、英語を話せる店員が、今日は見れないよ。と。
どうやら、遠征帰りで練習はないみたい。
その会話を聞いていた、客のうち1人が日本語で話してくる。
だいぶしゃべるのは遅いけど、「キョウハ、レンシュウナイ」と言ってくる。
そうか、ないのか。
それと、タケルは次の日の試合を見る予定だったので、
そのチケットはどこで手に入るかも聞いてみる。
すると、店員も日本後を話せる男も、今日はまだ買えないという。
けれど、ガイドブックには、2日前からスタジアムのチケットセンターで買えると書いてある・・・。
どっちにしろスタジアムツアーには参加しようってなっていたのでスタジアムまで行ってみることに。
と、その前にまずはソフィア王妃芸術センターへ。
ソフィア王妃芸術センターはアトーチャ駅のすぐ近く。
この美術館は、病院を改装して1986年に開館したものだ。
ピカソの作品が多数所蔵されているが、その他にもダリやミロの作品もある。
入ってみると、意外や意外。
美術品ばかりの美術館だと思ったけど、フランスの近代美術館にあるような作品もたくさんある。
そして、2階では念願のゲルニカを見ることができた。
圧倒的な存在感。
警備も厳重で、写真はもちろん撮れないし、スタッフ2人がしっかり監視している。
少しでも作品に近寄ろうとすると、アラームが鳴り警告する仕組みにもなっていた。
それにしても、実物は大きいなぁ。
実は、高校生のころ授業中に国語の教科書に載っていたゲルニカをマネして描いたことがある。
そのときもピカソの思いがなんとなく伝わってくる感じだったけど、
本物を見ているとピカソがこの絵にかける思いがさらに伝わってくるようだった。
それにしても、ピカソの絵は独特だ。
前は普通にキレイな絵を描いていたと聞いた気がするけど、
あの独特な絵にはどういう意味があるんだろう。。。
美術館を後にすると、今度はサンティアゴ・ベルナベウに。
ここは、サッカーファンなら誰でも知るレアル・マドリッドの本拠地。
メトロで、サンティアゴ・ベルナベウに着くと目の前に大きなスタジアム。
スタジアムツアーが30分後にあるということで、すぐにチケットを購入。
スタジアムツアーはスタジアムの観客席はもちろん、
ロッカールームやトロフィーが飾られている部屋などを見ることが出来る。
それにしても、観客席からコートまでの距離が近い!!
日本の多くのスタジアムと違って、トラックがないから本当に目の前でサッカーの試合が見れる。
日本でいうと柏スタジアムのような感じか。
歴代獲得してきたトロフィーの数もかなり多い。
こうゆう世界的なクラブを応援できる人は本当にうらやましい。
応援していて楽しいんだろうなぁ。
 
【スタジアム】 【栄光の数々】
 
【ベンチ】 【ロッカールーム】
スタジアムツアーが終わると、チケットを買えるかどうかスタッフに聞いてみることに。
すると、チケットセンターで販売しているとのこと。
なんだ、買えるんじゃん。
ということで、タケルはさっそく購入。
どこで見るか、迷った末に、なかなか良いメインスタンドを選択。
こんな機会はなかなかナイよね。と言って、高めの席に。
イイな〜。
バルセロナでは、絶対試合を見てみたい!!
ここで、少し早いけれど夕食を食べることに。
夜はタブラオに行く予定(予約できていれば)だけど、そこでご飯を食べると高くなるので、
先に腹ごしらえだけして行くことにした。
やってきたのは、タケルのガイドブックに載っていた食べ放題の店。
決してスペインらしい料理とは言えないけど、とにかくいろいろな種類の食べ物がある。
飲み物も付いて、1000円ほど。
これなら納得いく。
ひたすら食べて、本当にお腹いっぱい。
置いてあったリンゴを1つ拝借して、タブラオへ向かう。
【久しぶりに満腹】
タブラオに着いて、予約できてるか?と尋ねると案の定、予約できておらず・・・。
けれど席に空きがあるようで、入れてもらうことができた。
しかも、舞台からものすごく近い良い席!!ツイてるな〜。
タケルの話によると、マドリッドほどの大都市だとタブラオに行ってフラメンコを見ても、
観光客向けに軽く流して終わらせてしまうとこも多いようだ。
けれど、ここのタブラオは地元の人からも人気だけあって、全力で踊ってくれた。
初めて生で見たフラメンコは大迫力!!
カッコイイな〜。
特に男性(デル・ピエロ似)のステップはハンパない!
頭を振ったときに飛び散る汗の量もすごかった。
 
【本場のフラメンコ】
ショーが終わってトイレに行っている間に、タケルが隣りの席に座っていた日本人と話している。
日本人3人組だったんだけど、友達同士で来たわけじゃないらしい。
同じ宿で知り合って、せっかくだからということでフラメンコを見にきたとか。
これから、うちらはバルに行くつもりだけど、一緒に来ますか?と誘ったところ、反応は微妙。
なんかノリの悪い人々だな〜。
3人組の仲でも比較的話しやすい青年はそこそこ乗り気。
とりあえず、外に出ていくと、、、
おおー!!デル・ピエロ(似)〜。
ということで、一緒に記念撮影させていただきました。
んで、こっちの三人組は・・・、ほっとくか。と話し合っていたけど、
「どこの店に行きますか?」
なんて言ってくるから、結局5人で近くのバルに入ることに。
さっきの比較的話やすい子は大学3年生。
一人でスペインを21日ほど回るらしい。
まだ、スペインにきて2日目で、これからどうなるか心配だと言っていた。
パッと見、海外旅行なんてしなそうな茶髪の子は、大学1年生。
海外旅行は初めてらしいけど、あまり話さなかったからよくわからない。
最後に3人組の中でも一際落ち着いていて、大人っぽい人は、
京都大学の大学院生らしい。
スペインは2度目らしく、いろいろなことを知っていた。
けど、絡みにくい・・・。
結局、5人でバルに来たものの、想像していたスペインの夜とはほど遠い。。
地元の人と交流する機会は皆無で、なぜかこの5人。
ただ、生ハムはおいしかったから良いか。
【最高の生ハム】
ご飯を食べ終わって外に出ると、3人とは別れ、ユースホステルに戻る。
もう23時か・・。
メトロの駅に着いて、到着した列車に乗り込もうとしたとき、列車から出てきた乗客にぶつかった。
その後、その連れらしき人物が、ズボンの裾を叩いてくる。
何をしたいか全然理解できないので、それを振り払って乗車すると、
後ろから乗ってきた青年が黒いサイフを差し出してくる。。。
???
一瞬、それが何かわからなかった。
あ!自分のサイフだ・・。
人生で初めてスリに会った瞬間。
よく、スリは芸術だと言われるけど、本当に芸術のようだった。
サイフはズボンの前ポケットに入れていたにも関わらず、まったく気付かなかった。。
おそらく一人がズボンの裾を触っている時、そっちに気を取られている間にやられたんだと思う。
それにしても、後ろの青年が取り返してくれて本当に助かった・・・。
(よく考えると、その青年が取った気がしないでもないが)
ちなみにサイフの中身は、現金こそたった5ユーロだったけど、クレジットカードが入っていた。
あぶね〜。
【メトロには注意しよう】
今日のユースはインターネットが無料なので、今のうちにやっておけることをやっておく。
相方へ連絡、スイス・ドイツの宿の予約・・。
途中、シャワーを浴びに行ったりしながら、なんだかんだ深夜3時。
しかも、シャワーを浴びに行っている間に部屋のカードキーがなくなっていた。
あれれ?どこいった??
あちこち探してみても、どこにもない・・・。あれなくしたら、何ユーロとられるんだろ。。
それでも、部屋に戻って探しているときに、ポロっと落ちているカード発見。
・・・、これがオレのか??うん、オレのに違いない。
ということでカード発見。
良かった・・・。
相方と合流したら、スイスの観光列車に乗るんだという話をしたら、
タケルもベルニナ急行だけ予約することに。
お互いのガイドブックの情報を今のうちに交換して、今日は就寝。
もう4時だ〜。明日は、バルセロナでサッカーを見るゾ〜。
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